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edra(エドラ) ROSEチェア

奇想天外、「家具そのものの概念すら覆すedra(エドラ)というファニチャーブランド

今回の記事ではedraのROSE Chair(エドラのローズチェア。以降、特筆すべき事情がない限りはカタカナでの表記とする)を取り上げます。このローズチェアはエドラを代表する家具のうちのひとつですが、ここではまずは「そもそもエドラとはどのようなファニチャーブランドなのか」について解説していきます。

エドラは、1987年にイタリアのトスカーナで生まれました。イタリアの有名な家具ブランドのなかには100年を超える歴史を持つものも多く見られますから、まだ35歳のエドラは

「若手」と言ってもよい存在です。

しかしその名称は多くの人に知られていますし、彼らが作り出す家具は多くの人に愛されています。ローマの中心にある大邸宅では、このエドラのローズチェアを中心に据えた家があり、その空間のすばらしさは「美しさが息をする家」とすらも評されています。

エドラの作り出す家具は、非常に前衛的で、アグレッシプで、個性的で、挑戦的で、そして芸術的です。

今回紹介するローズチェアはもちろんのこと、鉱石をモチーフにしたイスやうずまきのように見えるソファ、3色の卓面を組み合わせた個性的なテーブルなど、数多くの家具を打ち出しています。

一見しただけではどのようにして使えばいいかわからないほどに斬新なデザインで作られたエドラの家具は、非常に強烈な印象を私たちに残します。リビングの主役となりうるこれらの家具の独創性は、ほかのファニチャーブランドの追随を決して許しません。

世界にはさまざまなファニチャーブランドがありますが、エドラの作り出す家具はそれらのいずれとも異なる強烈な個性を持ちます。一瞬見ただけで人の目を引きつけるエドラの家具の存在は、家具にインパクトとオリジナリティと存在感を求める人々に深く愛されています。

エドラを語るときにはそのデザインの斬新さを無視できません。これはエドラのもっとも大きな特徴だからです。

しかしエドラが、「ただデザインが独創的であるだけのファニチャーブランド」であったのなら、エドラはこれほどに多くの人の耳目を集めることはなかったことでしょう。

エドラはたしかにその革新的なデザインによって多くの人に注目を集めましたが、エドラの根底には高い手作業の技術と、高度な専門知識があります。彼らは伝統的な芸術と新しい技術を常に研究し、そこで得た知識を自ららの作り出す家具に反映させていきます。

使われる素材も非常に高品質であり、こだわりが見られます。たしかにエドラの家具は「使い勝手の良さ」を至上とするものではなく、しばしば「美術館あるいは公共施設に置かれるためものと考える方が良い(=一般家庭でデイリーユースすることを第一の目的とはしないものである)」と評されます。しかしその高い芸術性を支えるためには、やはり技術・知識・研究・素材が非常に重要なのです。

ちなみに、いわゆる「高級ファニチャーブランド」と呼ばれるブランドのほとんどすべては、家具を生み出すときには(割合は違うものの)なんらかの手作業の工程を必要とします。家具を作り出すために使われる機械は非常に効率的で優秀なものが多いのですが、それでも「手作業でなければ作り出せない部分」があるからです。

エドラの場合はこの「手作業でなければ作り出せない部分」が非常に多いとされています。むしろ機械を使って行う工程はほんのわずかで、その製品づくりのほとんどすべてを職人の手作業にゆだねていると考えられます。

このようなことを合わせて結論付けるのであれば、エドラは、「唯一無二のデザイン性と、そのデザインを具現化する職人の加工技術と、職人が腕をふるうのに値する最高品質の素材の3本の柱によって支えられているファニチャーブランドである」といえるでしょう。

文字通りの「ばら」の姿を写し取った「ローズチェア」について

エドラを語るうえで外すことのできないシリーズに、「フラワー・コレクション(『花シリーズ』『花座シリーズ』ともいう。以降は『フラワー・コレクション』の表記に統一する)」があります。

これは日本人のデザイナーである梅田正徳(うめだまさのり)氏によって作り出されたチェアでした。

1988年に発表されたフラワー・コレクションは、

・月苑(桔梗モチーフ)

・早春(梅モチーフ)

・浄土(蓮モチーフ)

・花宴(桜モチーフ)

の4つがありました。これらは「モチーフとなる花の要素を取り入れただけのチェア」ではなく、それぞれの花の形までをも非常に高い際限度でデザインに落とし込んだものでした。

やがて梅田氏はエドラと提携をし、このフラワー・コレクションを商品化することになります。その後にも新しいフラワー・コレクションが開発していくこととなり、その過程で「ローズチェア」も生み出されました。

ローズチェアは、文字通り、「ばら」をモチーフにしたチェアです。

ばらのもっとも大きな特徴のひとつである幾枚もの花弁を座面~背面のクッションで表現しています。この花弁を模したクッションを1枚ずつ丁寧に作り、立体的に配することで、高級感と存在感のある「ばらの椅子」が完成します。クッションが作り出す独特の陰影と、高級素材のひとつとして名高いベルベットの生地は、チェアを芸術品の域にまで高めています。

「花の王様」のひとつとしてたたえられるばらの持つ気高さや上品さ、高級感を見事に描き出したローズチェアは、初めてこれを見る人はもちろん、家の中でこのチェアと常に一緒に過ごす人にさえも新鮮な驚きをもたらしてくれることでしょう。

リビングに置くだけでなく、庭へと通じる大きな窓の側に置くのもおすすめです。窓があるにも関わらず、庭の美しい緑と室内にある「ばらの花」がよく調和し、自然のなかで過ごしているかのような心地よさを感じられるはずです。

ローズチェアはその美しい座面~背面のデザインがもっとも人の目を引きますが、フレームは金属で作られています。そのため人の体重を問題なく支えてくれます。

また、ローズチェアもほかのエドラの製品と同じように、「ハイテクで最先端の計画を、クラフトマンシップと卓抜した手作業の技術によって完璧に」作り上げられています。

ちなみにローズチェアのなかでもっとも有名なカラーはやはり赤色ですが、実際には黒色などの別色の展開もあります。エドラは、「すばらしい製品のなかから、もっともその人に合ったカラーバリエーションを提案すること」を約束しています。

チェアでありながらチェアであることを越え、芸術品となったエドラのローズチェアは、その驚異的な美しさと独創性で、見る人を常に魅了し続けます。

エドラのフラワー・コレクションを作り出した「梅田正徳」、その偉大さを知る

エドラのフラワー・コレクション、そしてエドラのローズチェアを作り出した梅田正徳氏は、1941年に神奈川県で生を受けたインテリアデザイナーです。1962年に桑沢デザイン研究所(東京都。現存している)を卒業後、イタリアに渡ります。
彼はイタリアでもその才能を発揮し、特に照明のすばらしさで知られるカスティリオーニなどで活躍することになります。
やがて大きな国際的な賞を受賞した彼は13年の時を経て日本に帰国、そしてフラワー・コレクションを始めとして数多くのデザインを手掛けていきます。なお彼の作ったフラワー・コレクションは、ミラノサローネ(ミラノで行われる、世界最大規模の国際的な家具見本市のこと)期間中のエドラのスペースにおいて30年間もの間展示され続けることになりました。

彼の作り出す家具は、時に現在のデザイン業界に対して「反抗的な」ものとなりえます。現在の家具は「より安く、より効率的で、より使いやすいもの」へと変化していっています。これらはたしかに家具にとって重要な要素ではありますが、徳田正則氏はこの傾向に対して「本当にそれだけで良いのか?」と鋭い質問を投げかけるデザインを発表していっているのです。

「デザインとは何か」「これからのデザインはどうあるべきか」を、動植物といった自然に存在するモチーフを通じて、彼は問いかけ続けます。そしてその雄弁なクエスチョンの代表作として、ここで取り上げた「ローズチェア」があるのです。