「カッシーナとリーンロゼ、どちらを選ぶべきか?」── これは中津家具のショールームでお客様から最もよくいただく質問の一つです。どちらも欧州を代表する高級家具ブランドであり、世界中の建築家・デザイナーに支持されています。しかし、この2社は『性格』が大きく異なります。本記事では、1957年創業の中津家具のバイヤーが、両者を多角的に徹底比較します(中津家具は ligne roset の正規取扱店として、Cassina は2003年から欧州ルートでの直輸入にて、それぞれ長年取り扱っております)。
カッシーナとリーンロゼ — そもそもどんなブランド?
Cassina(カッシーナ)— 1927年イタリア・メダ創業
カッシーナはイタリア・ロンバルディア州メダで1927年に創業したイタリア家具ブランドです。生前に直接協業した Mario Bellini、Patricia Urquiola、Philippe Starck などのデザイナーに加え、Le Corbusier・Gio Ponti といった20世紀の巨匠の作品を「I Maestri」コレクションとしてリエディション生産しています。20世紀から21世紀の家具デザイン史を代表するモデルを多数有しており、代表作は『マラルンガ』『LC2』『LC3』『キャブ』『スーパーレジェーラ』など。
ligne roset(リーンロゼ)— 1860年フランス・モンタニュー創業
リーンロゼは Antoine Roset が1860年にフランス Ain 県 Montagnieu(モンタニュー)で創業した家具ブランド。当初は木製ステッキ・傘柄(歩行杖の柄)の製造工房として始まり、後に近郊の Briord(ブリオール)に主要工場・本社機能を拡張しました。1973年に発表されたミシェル・デュカロワの『TOGO(トーゴ)』は、フレームのないオールウレタン構造のソファとして、発表から50年以上経った今でも世界中で愛されています。代表作は『TOGO』『PRADO』(Christian Werner, 2014)、『PLOUM』(Ronan & Erwan Bouroullec, 2011)、『PUMPKIN』(Pierre Paulin、1971年エリゼ宮ポンピドゥー大統領私邸用設計、Ligne Roset リエディション2008年〜) など。
1. デザイン哲学の比較
カッシーナとリーンロゼの最大の違いは、デザインに対する『姿勢』です。
- カッシーナ:建築・モダニズムの系譜。直線的・幾何学的・知的なデザイン。家具を「住空間の建築要素」として捉える
- リーンロゼ:ライフスタイル・コンフォートの系譜。曲線的・有機的・親しみやすいデザイン。家具を「居心地のよさ」の道具として捉える
カッシーナの『LC2』を見ると、その性格がよく分かります。スチール フレームに革張りクッションが「載っている」シルエットは、20世紀建築の思想を体現した佇まい。対してリーンロゼの『TOGO』は、フレームすら持たず、ウレタンの塊が地面に置かれているような有機的なフォルム。両ブランドのソファ哲学は対照的です(ただし Cassina にも Patricia Urquiola の Sengu / Beam Sofa など曲線的・コンフォート寄りの現代作品が、Ligne Roset にも Pierre Paulin・Eileen Gray の歴史的アーカイブ作品があり、単純な二項対立ではありません)。
2. 価格帯の比較
両ブランドとも幅広い価格帯のラインナップを揃えていますが、一般論として以下のような棲み分けがあります。
| カテゴリ | Cassina | ligne roset |
|---|---|---|
| 2人掛けソファ | 高価格帯 | 中〜高価格帯 |
| 3人掛けソファ | 高〜超高価格帯 | 中〜高価格帯 |
| ダイニングチェア(1脚) | 高価格帯 | 中価格帯 |
| 価格情報詳細 | 中津家具にお問い合わせください | |
※価格は仕様・素材・為替で変動します。具体的なお見積もりは中津家具までお気軽にお問い合わせください。
3. 座り心地の違い
これが両ブランドの最も大きな違いと言えます。長年両ブランドのソファを納品してきた経験から言うと、Cassina と Ligne Roset では『座る姿勢』そのものが違います。
カッシーナの座り心地
カッシーナのソファ(マラルンガ、LC2、Sengu など)は、座面と背面の境界がしっかりしており、「ソファに腰掛ける」という古典的な姿勢を基本とします。背中が背もたれにつき、腰がしっかり支えられ、長時間座っても疲れにくい安定感が特徴です。マラルンガの場合は背もたれ上部が前方に折れるヒンジ機構により、ハイバック⇔ローバックを切り替えられる柔軟性も加わります。
リーンロゼの座り心地
一方、リーンロゼ(特に TOGO)は、フレームのないオールウレタン構造により、「ソファに体を預ける」というより「座面に沈み込む」感覚です。座る・寝そべる・あぐらをかく・床に足を投げ出す ── どんな姿勢でも体が自然にフィットする、地面に近いリラックス感が魅力です。
どちらが優れているという話ではなく、暮らし方によって相性が違います。「リビングで読書や音楽鑑賞を楽しむ」スタイルなら Cassina、「家族やお子さんと一緒にゴロゴロ寛ぐ」スタイルなら ligne roset の TOGO がお勧めです。
4. メンテナンスの違い
両ブランドともメンテナンスは可能ですが、アプローチが異なります。
- カッシーナ:レザーモデルは汚れが気になったときの乾拭き、ファブリックモデルはカバー外しでクリーニング(モデルによる)。クッション材は5〜10年で再充填も可能
- リーンロゼ:TOGO はカバーリング タイプが主流で、外して洗濯・張替えが可能。長期使用でへたりが進んだ場合はインナーフォーム交換も対応可能(中津家具で承ります)
中津家具では、両ブランドともにパーツを取り寄せ、カバー張替え、ウレタン交換、レザー リフィニッシュなど一貫してサポートしています。
5. どちらを選べばいい? — 中津家具スタッフの提案
長年両ブランドを扱ってきた経験から、お客様のライフスタイル別にお勧めをまとめました。
カッシーナをお勧めしたい方
- 建築・モダニズム デザインに惹かれる方
- 「家具の名作を所有したい」という気持ちがある方
- 長時間ソファに座って読書・映画鑑賞・PC作業をする方
- 来客が多く、フォーマルな空間を作りたい方
- 30年・40年と一脚を使い続けたい方
リーンロゼをお勧めしたい方
- 家族みんなでゴロゴロくつろぐ時間を大切にしたい方
- 小さなお子さんがいて、ソファをラフに使いたい方
- カバーを洗えるソファが欲しい方
- カジュアルで温かみのある空間が好きな方
- 床に近い暮らしを好む方
両方持つ、という選択肢もある
実は中津家具のお客様の中には、「Cassina のマラルンガをリビングのメイン ソファに」「ligne roset の TOGO を寝室や子供部屋のセカンド ソファに」と両方お持ちの方も少なくありません。家具は『この空間にはこの一脚』という相性で選ぶもの。一つのブランドにこだわる必要はなく、ライフスタイルと空間に合わせて選べばいいのです。
「『カッシーナか、リーンロゼか』という二択ではなく、『あなたの暮らしに合うのはどちらか』を一緒に考えるのが私たちの仕事です。中津家具は ligne roset の正規取扱店としてメーカー保証付きで、Cassina は2003年から欧州ルートでの直輸入にて、それぞれ長年取り扱っております。ぜひ一度ショールームにお越しいただき、両方のソファに座り比べてみてください。」
— 永岡 侍紹央
カッシーナの代表モデルを詳しく知りたい方は、カッシーナ完全ガイドをご覧ください。マラルンガに興味がある方は マラルンガ徹底レビューもぜひどうぞ。