先日、こんなご相談をいただきました。「フロスのペンダントライトが、片方だけ点かなくなった。買ったお店が閉店予定で、どこに相談すればいいのか分からない」。
照明は、家具よりも長く家に残ります。20年、30年と使われる。ところが、その間にお店のほうが無くなってしまうことがある。これは製品の問題ではなく、構造の問題です。そして、この記事で最後に触れるとおり、フロスの場合はこの構造がはっきりしています。
まずはブランドの話から。FLOS(フロス)は1962年に創業した、イタリアの照明ブランドです。社名はラテン語で「花」。年に複数回イタリアに通ってきた立場から、このブランドの何がすごいのか、そしてお持ちの照明をどう扱えばいいのかを整理します。
1. FLOSとは — 1962年、イタリア。社名の意味は「花」
FLOS(フロス)は1962年創業のイタリアの照明ブランドで、法人名は Flos S.p.A、拠点はブレシアです。
「花」という名前
Flos はラテン語で「花」を意味します。そして公式には、この名前を付けたのが Pier Giacomo Castiglioni(ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ)だと明記されています。
照明の会社に「花」と名付ける。光を、機能ではなく咲くものとして捉えている——名前からしてこのブランドの立ち位置が出ている、と私は思っています。
創業者について、慎重に
ここでひとつ、正確を期しておきたいことがあります。フロスの創業については、いろいろな説明が世の中に出回っています。ただ公式のヒストリーは「誰々が創業した」という断定形を採っていません。Gavina、Eisenkeil、そして1963年から経営にあたった Sergio Gandini——それぞれの役割が記されている、という書き方です。
ですので当店としても、「創業者は◯◯です」とは申し上げません。公式が断定していないことを、販売店が断定するべきではないと考えています。
2. 代表モデル — Arco、そしてカスティリオーニという名前
Arco(アルコ/1962年)
フロスといえば、まずこれです。デザインは Achille and Pier Giacomo Castiglioni——アキッレとピエル・ジャコモのカスティリオーニ兄弟。1962年の作品です。
公式の説明が的確なので引きます。「Designed in 1962, Arco redefined overhead lighting by eliminating the need for ceiling suspension(1962年に設計されたArcoは、天井から吊るす必要をなくすことで、頭上の照明を再定義した)」
大理石の台座から大きな弧を描いて、テーブルの上まで光を届ける。天井に穴を開けずに、天井照明を成立させたわけです。ダイニングテーブルの位置を後から変えたくなったとき、この発想がどれだけありがたいか。60年以上前のアイデアが、いまだに現役である理由です。
【重要】カスティリオーニは「兄弟」と「単独」がある
ここは、当店が最も気を遣っているところです。カスティリオーニの作品には、兄弟の共作とアキッレ単独の両方があります。混同されているのを、本当によく見かけます。
- 兄弟(Achille and Pier Giacomo)の共作:Arco/Taccia/Luminator/Gatto/Toio Led/Diabolo/Snoopy/Splügen Bräu/Viscontea/Taraxacum 1
- Achille Castiglioni 単独:Frisbi/Lampadina/Stylos/Taraxacum 88/Parentesi On/Off(Pio Manzuとの共作)
理由は単純です。兄のピエル・ジャコモは1968年に亡くなっています。ですから、それ以降の作品はアキッレ単独ということになります。「カスティリオーニ兄弟の◯◯」と書かれていても、年代を見れば違うと分かることがある。次の章の話に、これが直接関わってきます。
3. Fucsia(フーシア)について — 誰の、いつの作品か
冒頭のご相談にあったFucsia(フーシア)。吹きガラスの円錐形のシェードが吊り下がる、あのペンダントです。
Achille Castiglioni の「単独」作品、1996年
Fucsia は、Achille Castiglioni 単独のデザインで、1996年の作品です。公式にも「Fucsia 1 … By Achille Castiglioni」「, 1996」と記載されています。
前章の話を思い出してください。1996年。兄のピエル・ジャコモは1968年に亡くなっています。つまり、Fucsia を「カスティリオーニ兄弟の作品」と説明したら、それは明確な誤りです。Arco(1962年・兄弟)とちょうど逆になる、という点も覚えておくと間違えません。
仕様
- 吹きガラスの円錐形ディフューザー(縁はサンドブラスト仕上げ)
- 直接光のサスペンションランプ
複数灯の構成があるモデルで、冒頭の「片方だけ点かない」というご相談は、まさにその構成ゆえのお話でした。
現在の扱いについて
正直にお伝えしておきます。Fucsia は現行のカタログから外れているとみられます。公式の製品ページはトップページへ転送され、公式のデザイナーページにも掲載がありません。
ですので、「今から新品を買う」という前提でお話しすることはできません。お手元にあるものを、どうするか——ご相談の中身は、そちらになります。
4. 買ったお店が無くなったら、どこに相談するのか
ここからが、この記事で一番お伝えしたいことです。
日本の窓口はある。ただし
日本にはフロスジャパンがあります。
- 東京都渋谷区渋谷1-3-3 SOA TOWER 2F
- TEL 03-6421-0840
- 平日 10:00〜17:30(12:00〜13:00を除く)
ただし、専用の修理窓口は設けられていません。公式にはこう明記されています——「お買い上げいただいた商品のお問い合わせは、お買い上げの販売店にお問い合わせ願います」。
つまり、こういう構造です
お問い合わせの起点は購入した販売店である、ということです。制度としては筋が通っています。買ったお店が、そのお客様のことを一番分かっているのですから。
問題は、そのお店が閉店・撤退したときです。起点が消える。冒頭のご相談は、まさにこれでした。何も悪いことをしていないのに、相談先だけが無くなってしまう。照明が20年30年と使われるものである以上、これは誰にでも起こりえます。
他店でご購入のものも、まずご相談ください
中津家具は1957年創業の家具専門店で、関連会社で家具工場を運営しています。張り替え、木部の補修、革のメンテナンスに対応してきました。
そのうえで、他店でご購入の照明・家具についても、メンテナンスのご相談を承っています。「うちで買ったものではないので」とお断りすることはありません。
ただし、正直に申し上げます。照明の電気系の不具合について、必ず対応できるとお約束はできません。症状とモデル、製造時期によって、できること・できないことが変わります。ですので——まずはご相談ください。状況を確認したうえで、当店で承れるのか、別の道筋をご案内するべきなのかを、正直にお伝えします。
なお中津家具では、FLOS の ARCO、Taccia、Parentesi、Snoopy、Gatto、Glo-Ball、IC Lights、Ktribe、Miss K、Romeo、Kelvin などをお取り扱いしています(2026年7月時点)。お見積もりは個別に対応いたします。納期は目安としてお伝えします。
5. 中津家具で フロス を選ぶメリット
中津家具は1957年創業の家具専門店として、2003年から欧州ルートで フロス を直輸入して販売しており、主要モデルを多数ご納品してきました。仕入れルートにより保証内容・納期・お取扱モデルが異なる場合がございますので、ご検討のモデルについては事前にご相談ください。
- 東京オフィス(青山・予約制)で、ご検討モデルについてご相談いただけます
- 中津ショールーム(大分)では、実際の現物をご覧いただけるアイテムがある時期もあります
- 張地・素材・サイズ選びから、搬入経路・納期のご確認まで一貫してサポートします
- 納品後の経年メンテナンス・お手入れのご相談にも対応します
▶ フロス の価格・納期を問い合わせる(無料・2営業日以内に回答)
よくあるご質問
Q. FLOS(フロス)はどこの国のブランドですか?
A. イタリアのブランドです。1962年創業で、法人名はFlos S.p.A、拠点はブレシアにあります。社名のFlosはラテン語で「花」を意味し、この名前を付けたのはPier Giacomo Castiglioniだと公式に明記されています。なお創業者については、公式のヒストリーが「誰々が創業した」という断定形を採っていないため、当店としても特定の個人を創業者として断定することはいたしません。
Q. FLOSのFucsia(フーシア)は誰がデザインしたのですか?
A. Achille Castiglioniの単独のデザインで、1996年の作品です。公式にも「Fucsia 1 … By Achille Castiglioni」「, 1996」と記載されています。兄のPier Giacomoは1968年に亡くなっているため、1996年の作品であるFucsiaを「カスティリオーニ兄弟の作品」と説明するのは明確な誤りです。1962年のArcoが兄弟の共作であるのとちょうど逆になります。吹きガラスの円錐形ディフューザー(縁はサンドブラスト仕上げ)を持つ直接光のサスペンションランプですが、現在は現行カタログから外れているとみられます。
Q. FLOSのArco(アルコ)はどんな照明ですか?
A. Achille and Pier Giacomo Castiglioni兄弟による1962年の作品です。公式は「Designed in 1962, Arco redefined overhead lighting by eliminating the need for ceiling suspension(1962年に設計されたArcoは、天井から吊るす必要をなくすことで、頭上の照明を再定義した)」と説明しています。台座から大きな弧を描いてテーブルの上まで光を届ける構造で、天井に穴を開けずに天井照明を成立させた点が画期的でした。
Q. FLOSの照明が故障したとき、どこに相談すればよいですか?
A. 日本にはフロスジャパン(東京都渋谷区渋谷1-3-3 SOA TOWER 2F/TEL 03-6421-0840/平日10:00〜17:30、12:00〜13:00を除く)がありますが、専用の修理窓口は設けられておらず、公式には「お買い上げいただいた商品のお問い合わせは、お買い上げの販売店にお問い合わせ願います」と明記されています。つまり購入した販売店が起点になるため、そのお店が閉店・撤退すると相談先を失うことがあります。中津家具では他店でご購入の照明・家具についてもメンテナンスのご相談を承っています。ただし電気系の不具合は症状やモデル、製造時期によって対応の可否が変わりますので、必ず対応できるとお約束はできません。まずはご相談いただければ、確認のうえ正直にご案内します。
Q. 中津家具で フロス を購入できますか?
A. はい。中津家具は1957年創業の家具専門店として、2003年から欧州ルートで フロス を直輸入して販売しており、ARCO(アルコ) など主要モデルをお取り扱いしています。仕入れルートにより保証内容・納期・お取扱モデルが異なる場合がございますので、ご検討のモデルについてはお気軽にお問い合わせください。