― 海外で見つけた家具を、日本で手に入れるまでに起きること
1. 現地の家具店で、日本では見たことのない椅子に出会いました
デンマークから戻ってくるとき、コペンハーゲンの家具店で一脚の椅子に目が留まりました。日本ではまだ扱われていないものでした。
値札を見て、しばらく動けませんでした。日本で似た価格帯の輸入家具を見てきた身からすると、ずいぶん違うと感じたからです。
海外出張や駐在が珍しくなくなりました。現地で家具を見て、そのまま買って帰りたいと思う方は、これから増えていくと思います。
実際にやってみたので、その記録を残しておきます。良かったことも、面倒だったことも、両方書きます。
2. なぜ、同じ商品でも現地と日本で差が出るのか
海を越えるあいだに、商品にはいくつもの費用が積まれていきます。
- 海上または航空の輸送費と、そのための梱包費
- 関税と、輸入時にかかる消費税
- 通関の手続きにかかる費用
- 国内に着いてからの保管費と、配送費
- 輸送中の破損に備える保険料
これは誰かが不当に上乗せしているという話ではありません。物理的に海を越えさせるために、必ずかかるものです。
ただし、この費用がどこで、何回かかるかは、運び方によって変わります。そこが今回の話の中心です。
3. 自分で輸入して、分かったこと
① 送料は、家具の値段に匹敵することがある
椅子一脚でも、梱包すると相当な体積になります。家具の輸送費は重さより体積で決まるため、小さくて重いものより、大きくて軽いもののほうが高くつきます。
ソファやダイニングテーブルとなると、輸送費だけで国内の販売価格に近づくこともあります。
② 関税と消費税は、思ったより後から来る
商品代金を払った時点では終わりません。日本に着いてから、関税と消費税の請求が別に届きます。
家具の関税率は品目によって変わります。木製家具、金属製、張り地の有無でも扱いが違います。事前に調べておかないと、着いてから慌てることになります。
③ 壊れたときに、誰も助けてくれない
これがいちばん大きかった点です。輸送中に傷がついても、割れても、個人で手配した荷物は自分で交渉するしかありません。
相手は海外のメーカーか、輸送会社です。言葉の問題もありますし、写真を撮って、状況を説明して、責任の所在を詰めていく作業が発生します。届いた家具を眺めながらそれをやるのは、なかなかこたえます。
④ 納期が読めない
船便は天候や港の混雑で動きます。「◯月には届く」と決め打ちできません。
新居の引き渡しに合わせたい、というご事情がある場合、ここは相当なリスクになります。
⑤ 組み立てと設置は、自分でやることになる
大型の家具は分解された状態で届きます。玄関に大きな木箱が置かれて、そこからは自分の仕事です。
マンションの場合、そもそも搬入経路に入るのかという問題もあります。
4. それでも、やる価値はあるか
一点だけなら、面白い経験だと思います。自分で選んで、自分で運んで、自分の家に据える。愛着はまったく違うものになります。
ただしダイニングセットやソファなど、大きなものや複数点になると、現実的ではなくなります。費用も手間もリスクも、点数に比例して増えていくからです。
そして何より、届いてから何年も使うものです。数年後にカバーを替えたい、部品を取り寄せたいとなったとき、窓口がないというのは、思っている以上に困ります。
5. 私たちがやっているのは、これを仕事として引き受けることです
中津家具は1957年の創業です。長くヨーロッパの家具を扱ってきました。
やっていることは、先ほど書いた面倒ごとを、そのまま業務として引き受けることです。
- 本国のメーカーと直接やり取りして、仕様と価格を確認します
- 複数のお客様のぶんをまとめて運ぶので、一点あたりの輸送費を抑えられます
- 通関の手続きと、輸送中の保険をこちらで手配します
- 国内に着いてからの配送と、お部屋への設置まで行います
- 数年後の張り替えや部品の相談も、こちらが窓口になります
個人で一点を運ぶのと、業者がまとめて運ぶのとでは、一点あたりにかかるものが変わります。私たちが提示できる価格の根拠は、そこにあります。
6. 浮いたぶんは、内装に使ってください
家具は空間の一部です。どれだけ良い家具を入れても、それを置く部屋がちぐはぐでは、良さが出ません。
壁の仕上げ、床材、照明の位置、造作の棚。ここにかけた費用は、住んでいるあいだずっと効いてきます。
家具でご予算に余裕が出たら、そちらに回していただくほうが、結果として満足度の高い部屋になります。私たちはそう考えています。
7. こういう場合は、ご自分で運ばれても良いと思います
私たちの仕事を減らす話になりますが、正直に書きます。
- 小ぶりな一点もの。椅子一脚、スツール、照明器具など
- 納期に余裕があり、多少遅れても困らない
- 現地に滞在していて、自分で店とやり取りできる
- 多少の傷なら気にしない、あるいは自分で直せる
この条件がそろっているなら、面倒ごとも含めて楽しめると思います。旅の記憶と一緒に家に残るものになります。
8. 反対に、こういう場合はお任せいただいたほうが良いです
- ダイニングセットやソファなど、大きなもの
- 複数点をまとめて揃えたい
- 引き渡しや引っ越しの日が決まっている
- マンションで、搬入経路に不安がある
- 長く使うつもりで、後々のカバーや部品のことも考えたい
とくに搬入経路は、見落とされがちです。エレベーターに入らない、階段が回れない、玄関の枠を通らない。届いてから分かると、行き場がなくなります。
私たちは事前に採寸に伺い、通るかどうかを確かめてからお受けしています。通らない場合は、分割して搬入できる仕様に変えられないかをメーカーに確認します。
9. 実際にいただくご相談
「出張先のミラノのショールームで見た。ブランド名は覚えているが、モデル名が分からない」
こうしたご相談も少なくありません。写真が一枚あれば、たいてい特定できます。ヨーロッパの主要メーカーの型番体系は、こちらで把握しているためです。
「日本ではまだ売っていないと言われた」というものも、本国で生産されていれば取り寄せられることがあります。まずはお尋ねください。
10. ご相談ください
海外で見かけた家具のお名前が分かれば、お取り寄せできるかどうかをお調べします。写真だけでも構いません。
お見積もりは無料です。商品代・配送料・組立費を含む総額で、2営業日以内にご回答いたします。
東京・青山と、大分・中津本店でご相談を承っております。
中津家具株式会社 1957年創業
よくあるご質問
Q. 家具の個人輸入は、日本で買うより安くなりますか。
A. 商品代だけを比べると安く見えることがありますが、輸送費・関税・消費税・通関手数料・国内配送費が別にかかります。とくに家具は重さではなく体積で輸送費が決まるため、大きなものほど費用が膨らみます。椅子1脚のような小さなものなら差が出ることもありますが、ソファやダイニングセットでは、その差が輸送費で消えることも珍しくありません。
Q. 輸送中に壊れた場合はどうなりますか。
A. 個人で手配された荷物は、ご自身で海外のメーカーや輸送会社と交渉することになります。写真を撮り、状況を説明し、責任の所在を詰めていく作業が必要です。当社でお受けした場合は、輸送保険の手配から交渉まで当社が窓口になります。
Q. 海外で見た家具の名前が分からなくても相談できますか。
A. できます。写真が1枚あれば特定できることが多いです。ヨーロッパの主要メーカーの型番体系を把握しているためです。ブランド名だけ、あるいは店内で撮った写真だけでもお送りください。
Q. 日本ではまだ売っていないと言われた家具でも取り寄せられますか。
A. 本国で生産されているものであれば、お取り寄せできることがあります。まずはモデル名か写真をお知らせください。可否と、おおよその納期をお調べします。
Q. マンションに搬入できるかどうかは、事前に分かりますか。
A. 事前に採寸に伺い、エレベーター・階段・玄関の枠を通るかを確かめてからお受けしています。通らない場合は、分割して搬入できる仕様に変えられないかをメーカーに確認します。