ブランド

Molteni & C(モルテーニ) Octave Sofa

90年近くの歴史を持つ「Molteni & C(モルテーニ)」はイタリア生まれのブランド

Molteni & C(モルテーニと記される。以下、特段の事情がない限りはカタカナで統一する)は、今から90年ほど前の1934年にイタリアで生まれた家具ブランドです。この家具ブランドは、もともとはモルテーニ夫妻が2人で手作業で家具を作り上げていくスタイルのブランドでした。しかし、ミラノで生まれた小さな町工房に過ぎなかったこのモルテーニは、夫妻の卓抜した技術によって大きく成長していくことになります。

モルテーニは、しばしばその技術力の高さから、「彼らの能力をもってすれば、不可能だと思われていたことさえも可能になる」と評されます。イタリアは名門ファニチャーブランドが集まる国ですが、そのイタリアにおいても、モルテーニの作り出す家具は高く評価されているわけです。

このような評価からも分かる通り、モルテーニの産み出す家具は非常に機能的です。特に収納家具においては他の追随を許しません。もっとも彼らが生み出す家具は収納家具にとどまらず、ソファやテーブル、ベッドなど、幅広く商品を展開しています。

モルテーニのデザインは、「モダン」という言葉に集約されています。彼らの作り出す家具は、非常にシンプルで、余計な装飾がなく、スタイリッシュで、現代的です。「家具のきほん」ともいうべき作りとデザインを取るのがモルテーニの特徴ですが、しかしそのデザインは、「個性がない」という言葉とは対極の位置にあります。モルテーニの作り出す家具はシンプルでありながらも、彼らしか作り出せないエレガントさと品質の高さ、高級感をそなえています。繊細さを併せ持つ家具も得意としており、人の生活にストレスなくしっとりと入り込むことができるのが、モルテーニの打ち出す家具の特徴です。

モルテーニの作品「オクターブ」を知る

上記で述べたように、モルテーニは収納家具を得意としつつも、ソファやテーブル、ベッドなどの多種多様な家具を打ち出しています。今回はそのなかから、ソファである「OCTANE(オクターブ、オクターヴとも。以下、特段の事情がない限りは「オクターブ」の表記で統一する)」を取り上げて、その特徴について解説していきます。

オクターブは、Vincent Van Duysen(ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン。以下特段の事情がない限りはカタカナの表記に統一する)によって生み出されたソファです。

オクターブは、一言で表すのならば、「幾何学×繊細、の掛け合わせで生み出されたソファである」ということになります。オクターブを見たとき、多くの人はそこに、モルテーニらしいモダンさを見出すことでしょう。しかしそれが部屋に置かれたときの写真などを見ると、このオクターブが、実に繊細で、実に慎重に考えられて作られたものであることが分かるはずです。

もともとオクターブは、「さまざまな建物が立ち並ぶ大都市を、高層階の窓からゆったりと見下ろした図」からインスピレーションを受けて作られたものです。そのため、そのような空間が持つラグジュアリーさをしっかりと写し取って作られています。「大きな室内シアターを取り囲んで観賞したいときに最適なソファ」ともいわれるこのオクターブは、現代的な雰囲気とともに、上品な雰囲気を湛えているわけです。

なおこのオクターブは、モジュール型のソファに分類されています。そのため、自由自在に組み合わせを考えることが可能で、これを選ぶ人のライフスタイルに合わせて「最適なかたち」に変えていくことができます。
家族の数や部屋の大きさ、部屋の趣向に合わせて買い足すこともできる柔軟さを持っているソファなのです。

「コーナーエレメント」と名付けられた斜めにカッティングされた形状のソファが展開していることからも分かる通り、長さや形状、スタイルもさまざまで、組み合わせ次第で選ぶ人の個性を出すことができるのも面白い点です。来客者があっと驚くような配置を楽しめるといった点では、オクターブはなかなかに「遊び心のあるソファ」と言えるのかもしれません。て

シンプルなデザインを愛するデザイナー「ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン」

ここからは、このオクターブを作り上げたデザイナー「ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン」について解説していきます。

ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンは、1962年にベルギーのロケレンで生まれました。サンルカス建築大学の建築学科を卒業した彼は、20代後半に生まれ故郷であるアントワープに自らのスタジオを設立します。彼はデザイナーとしても建築家としても活躍していますが、その経歴は非常に華々しく、数多くの賞を受賞してきました。

また、モルテーニだけでなく、ザラホームなどの有名ブランドと提携してきたデザイナーとしても知られています。
ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンの作り出す家具は、非常によく「インテリアデザインと、建築学を融合させたもの」と評されます。これはヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンが、建築学科で学んだ技術や考え方を、家具のデザインに取り入れているからだと考えられています。
ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンがデザインした家具は、非常にシンプルです。彼の生み出す家具には過度な装飾性はなく、落ち着いていて、そして普遍的です。家具のなかにはそれ自体が部屋の印象を決定づけるような力強さ・押しの強さを持ったものも多く見られますが(そしてそれらはそれらで非常に魅力的なものなのですが)、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンの打ち出す家具は、部屋の空間にしっとりと溶け込むことを目的としています。
「家は落ち着ける場所でなければならない」という思想の元で練り上げられたヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンの家具は、どんな人にとっても使いやすく受け入れやすいものとなっています。しかし彼の家具は決して「つまらないもの」ではありません。シンプルさのなかに上品さと純粋さを持ち合わせたものが多く、オクターブもまた、そのような「ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンらしさ」から生まれた家具だといえます。